副業・兼業解禁!複業・多業との違いは?地方でキャリアを磨くこれからの働き方

2018年3月、厚生労働省は働き方改革の取り組みの一つとして「副業・兼業」の推進を始めました。
すでに一部の企業では、労働者の副業・兼業を認めています。
これまで原則禁止されていた正社員の副業解禁により、企業や労働者にどのような影響があるのでしょうか。
本記事では、副業解禁の背景と現状、労働者のメリット・デメリット、副業推進に向けた今後の課題について解説します。

 

目次

1.副業・兼業解禁の背景と狙い

これまで、副業・兼業は社会的にご法度とされ、国が定めたモデル就業規則にも、副業・兼業に関しては「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」と記載がありました。

しかし、今年になり状況は一変。2018年年1月以降、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」と内容が改定されたのです。

この改定の背景には、迫りくる「2025年問題」があります。加速する少子化の影響により日本の人口は約700万人減少し、15歳から64歳の生産年齢人口が7000万人まで落ち込むと予測されています。また、65歳以上の高齢者は全人口の約40%を占めるようになると言われています。

これらの問題から、日本経済の活性化と労働力確保への対策は国の重要課題とされており、副業・兼業解禁は課題解決のための有効な手段として注目されるようになりました。

副業・兼業が解禁されることで、労働者はひとつの企業に留まることなく、自発的にやりたいことにチャレンジできるようになります。このことにより、企業は能力やモチベーションが高い人材を確保することができ、社内活性化、生産性向上につながることが期待されます。

労働者自身も、人生100年時代と言われるこれからの日本で生きるために、定年後も長く働き続ける人が増えることが見込まれます。そのため、転職や起業を視野に入れたスキルアップ・キャリアアップが求められており、副業・兼業はそのための手段として有効と考えられています。

 

2.副業・複業(多業)・兼業は何が違うの?

副業と似た言葉に「複業(多業)」や「兼業」がありますが、それぞれどのような意味で使われているのでしょうか。

(1)副業

本業とは別に仕事を行うことを言います。
本業が収入源の主体となり、仕事にかける時間・収入は本業より少なくなります。

<例>
企業で正社員で働きつつ、他社でアルバイトをしている。

(2)複業(多業・マルチワーク・パラレルワーク)

本業を持たず、3つ以上の仕事をかけ持つことです。多業・マルチワーク・パラレルワークとも呼ばれます。
サラリーマンの場合もありますが、主にフリーランスや非正規労働者が複数の仕事を行うことを示す場合が多いです。また、収入を伴わないボランティアやNPO法人などの活動も含まれます。

<例>
個人事業主が複数の事業を手掛けている。
企業で正社員として働きつつ、個人事業主としても事業を行っている。

(3)兼業

本業を持たず、2つの仕事をかけ持つことです。ダブルワークとも呼ばれます。

<例>
平日は会社員として働いているが、週末や長期休暇中は農家をしている。

 

3.副業・兼業のメリット・デメリット

副業解禁により、労働者にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

労働者のメリット

<働く環境>
・やりたいことに挑戦することで自己実現を追及できる。
・労働者が主体的にキャリア形成することができる。
・将来に向けて起業や転職の準備ができる。
・ワークライフバランスが実現する。

<金銭面>
・所得の増加が見込める。

労働者のデメリット

<働く環境>
・本業とのバランスを取るのが難しい。

・職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を守らなければならない。
・労働者自身による健康管理が必要。

<金銭面>
・勤務形態により雇用保険や社会保険が適用されない場合がある。

・住民税の申告が必要。
・副業・兼業により得た収入が20万円を超える場合、個人による確定申告が必要。

年収アップや自己実現などメリットが大きな副業ですが、実際に始める際は少し注意が必要です。本業に支障がでないように配慮しなければならないことはもちろん、各種保険や税金などの問題も考えなければなりません。また、年収アップを目的に副業を始めたものの、本業にかけるウェイトを下げたばかりに結果として年収が下がるケースもあります。副業を成功させるには、本業と副業のバランスを上手くとることが重要と言えます。

 

4.副業・兼業の推進を阻む問題点と解決に向けた取り組み

現状では、一部の大手企業が副業を解禁し始めたばかりで、中小企業でも副業が認められるようになるには、まだまだ多くの課題があります。
厚生労働省による2014年度の調査では、中小企業の85.3%が「副業を認めていない」と回答しています。
その理由は「本業がおろそかになる」と回答した企業が最多で、その他にも「情報漏洩」「競業、利益相反」「長時間労働」などの懸念が挙げられました。

特に地方は、人材不足のため目の前の業務を回すので手一杯という企業も多く、本業への影響を考えて副業に対して難色を示す企業が多いのが現状です。副業への理解が進み、認められるようになるまでには、これから多くの問題を解決しなければなりません。


<引用>厚生労働省「資料4 副業・兼業について」(2014年)

しかし、社会的な背景を考えると、今後は地方においても副業を解禁する中小企業が増えていくことが予想されます。そのためには、企業・労働者はそれぞれ、副業への懸念点を払拭するために、次のことに取り組んでいく必要があります。

企業の取り組み

・副業を認める範囲と条件を設定する
・就業規則の改定
・副業解禁後、労働者の状況を把握する

労働者とのトラブルを避けるためにも、本業に支障をきたさないように副業の範囲や条件を決め、就業規則に記載しておく必要があります。また、実際に副業を始めた場合、従業員の業務状況を把握し、本業との両立ができているか、健康状態に問題が無いかを確認するために、しっかりとコミュニケーションを取ることが望ましいと言えます。

労働者の取り組み

労働者が副業を希望する場合は、まずは会社に事情を話して相談・交渉してみましょう。就業規則で禁止と定められている場合は難しいかもしれませんが、事情によっては認めてもらえる場合もあるようです。また「禁止されている」と思っているだけで、就業規則上で禁止になっていない場合もあります。まずは就業規則を確認してみましょう。

また、副業の交渉をする場合は、企業の懸念点を払拭できるよう、次の点を明確に説明するようにしましょう。
・副業の業務内容、就業時間、労働場所等
・本業に支障をきたさないこと
・職場専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を必ず守ること
・健康管理を怠らないこと

 

5.地方の副業への取り組み

副業に向けた企業と労働者の取り組みはまだこれからという段階ですが、地方自治体による副業・兼業への取り組みが話題になっています。
動き出しているところはまだ少ないですが、いくつかご紹介します。

・広島県福山市
民間の人材から福山市のブレーンとして「戦略顧問」を募集。報酬・交通費・宿泊費を支給。(2017年に実施。すでに応募は締め切っている)

・奈良県生駒市
在職3年以上の職員を対象に、公共性のある団体での副業を認めている。一定の基準を満たせば報酬の受け取りも認められている。

・兵庫県神戸市
「地域貢献応援制度」と銘打ち、報酬を伴う地域活動を職員に認めている。

<参考>産経ニュース「公務員の〝副業解禁〟自治体にもジワリ 神戸市、奈良・生駒市で基準明確化」(2018年3月22日)
<参考>日本経済新聞「民間人材採用 週1日、兼業・副業に限定 福山市 」(2017年11月22日)

 

6.まとめ

年収アップ・スキルアップ・キャリアアップなどの理由から、副業を希望する労働者は今後ますます増えていくでしょう。特に地方においては、都市圏から地方に転職する場合、年収が大幅に下がるケースが多く、減った収入を補填するため、自らの知識や経験を活かして副業・兼業を希望する転職者も多いようです。そのため、企業としても、副業を解禁することで意欲の高い優秀な人材を確保しやすくなるかもしれません。また、労働者が社内では得られない知識やスキル、人脈などを獲得することで、それらを活かして本業にも貢献してくれることが期待されます。
これらのことから、現状では懸念点も多い副業ですが、将来的に見ると企業・労働者双方に大きなメリットがあると言えるでしょう。

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