女性管理職のメリット・デメリットは?女性活躍推進法の実態を解説!

2015年8月、女性が職業生活において活躍することを推進するための基本原則として「女性活躍推進法」が成立しました。正式には「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」と言います。従業員が301人以上の企業は、女性活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ行動計画を策定・公表することが義務付けられました。
本記事では、女性活躍推進法の概要とその取り組みの一つである「女性管理職の登用」について、女性管理職に求められる条件や、女性管理職が取り組むべきことについてお伝えします。

 

目次

1.女性活躍推進法ってどんな法律?

いま日本では、少子高齢化により深刻な労働力不足に陥っています。また、働き盛りである30代の女性たちが、結婚や出産を機に仕事を辞めてしまうケースが多く、産後に復帰しようとしても正社員での採用が難しいなど、女性が継続して就労するための制度や環境が整っていないことも、労働力不足の大きな要因となっています。

・結婚・出産を機に46.7%の女性が退職
参照:国立社会保障・人口問題研究所「第Ⅱ部 夫婦調査の結果概要:4.子育ての状況」
・非正規雇用者の68.2%が女性
参照:国立社会保障・人口問題研究所「第Ⅱ部 夫婦調査の結果概要:4.子育ての状況」
・女性管理職の割合は全体の12.1%
参照:厚生労働省(2017)「「平成28年度雇用均等基本調査」の結果概要」

このような背景から、政府は働きたい女性が希望する職種に就き、自らの能力を生かして活躍できるような社会を実現するために「女性活躍推進法」を制定しました。

女性活躍推進法の基本原則には、

本法は、基本法の基本理念にのっとり、自らの意思によって働き又は働こうとするすべての女性の活躍を迅速かつ重点的に推進し、その結果として男女の人権が尊重され、豊かで活力ある社会を実現することを目的としており、基本原則を次のとおり規定しています。

(1) 女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供・活用と、性別による固定的役割分担等を反映した職場慣行の影響への配慮が行われること
(2) 必要な環境整備により、職業生活と家庭生活の円滑かつ継続的な両立を可能にすること
(3) 本人の意思が尊重されること

引用:内閣府男女共同参画局(2015)「「共同参画」2015年 9月号」

と明記されています。
つまりこの法律は、女性だけにスポットを当てて「女性をどんどん社会進出させて働かせよう」というものではなく、男性も女性もワークライフバランスを見直し、本人の意思が尊重される働き方ができるような取り組みを企業に求める法律なのです。

(1)女性の管理職登用が義務化。その実態は?

女性活躍推進の一環として、厚生労働省は女性管理職における男女比率を「2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%にする」という目標を掲げています。その実現のために、従業員が301人以上の企業は、数値目標を盛り込んだ行動計画を策定・公表することが義務付けられています。
しかし、一部の企業からは「数値目標ありきの登用はしたくない」「能力が見合わず形式だけの肩書きになる可能性がある」「人件費が上がる」などの問題を指摘する声が上がっています。また、女性労働者としても、労働時間の増加や責任の重さなどを理由に「管理職になりたくない」と考える人が多いのが現状です。

これらの状況から、女性管理職を増やしていくためには企業は単に数値目標を掲げるだけでなく、能力ある女性を管理職として育てるための教育体制を整え、管理職になっても働きやすい環境を作ることから始める必要があります。

(2)企業に策定・公表が義務付けられた内容とは?

企業が公表しなければならない内容は次の4つです。これらを行政機関(各労働局)に届け、ホームページなどで外部に公表します。

(1)数値目標
(2)取り組み内容
(3)実施時期
(4)計画期間

数値目標の項目には次のようなものがあります。
・採用における男女比
・管理職における男女比
・男女別の継続就業年数
・男女別の残業時間数
・男女別の育児休業取得率
・年次有給休暇の取得率 など全18項目

(3)女性の管理職比率は世界ワースト1位

日本の女性管理職の割合は、世界的に見ても低水準に留まっています。ILO(世界労働機関)の報告(2014)によると、2012年時点での日本の女性管理職の比率は11.1%、調査の対象となった128か国中96位という結果に。世界会計事務所グラントソントンの報告(2016)では、日本はワースト1位となっています。

日本ではなぜこれほどまでに女性の管理職登用が進まないのでしょうか。その理由として、日本に男尊女卑の社会通年が根強く残っていることが影響していると言えます。男女平等が叫ばれる以前の日本では、女性は政治や経済の場で意思決定に参加することを制限されていました。このことが、いまだ女性の社会進出を阻み、男女格差を広げている原因となっていると言えそうです。

 

2.女性管理職ならではの強みは?

管理職として求められる役割・スキル以外に、女性が管理職として活躍するうえで強みとなる能力があります。これらの能力は、チームを率いて業務を遂行するにあたって、とても大きな効果を発揮します。

(1)フラットなコミュニケーションが得意

「男性は縦社会、女性は横社会」と言われるように、女性はフラットなコミュニケーションをとることを得意とします。組織という集団の中で、様々な立場の人と適度な距離感を保ち、自分の率直な意見を伝えたり、周囲の人を巻き込んで協力し合うなど、上司や部下と良好な関係を築くことができます。

(2)共感力が高い

男性と女性は脳の構造が異なり、女性は「共感力」が高いコミュニケーションをとります。これは、部下指導において大きな力を発揮します。部下の気持ちに寄り添い共感した言葉がけは、部下に安心感を与え信頼関係の醸成につながります。

(3)細やかな気配りができる

女性は男性より気配りが上手いと言われています。この能力を生かして、いち早く部下の状況を把握し、ミスしたときのフォローや意欲を伸ばすためのアドバイスやサポートを行い、部下の成長を支えることができます。

(4)性別を問わず部下が相談しやすい

女性社員の多くが、男性管理職には相談しにくいと感じています。仕事のことならまだしも、プライベートなことや体調に関わることは特に気を遣います。そんなとき、女性社員にとって女性の管理職がいるのはとても心強いです。また、女性管理職には結婚や子育て経験がある人も多いため、仕事と家庭の両立や育児について、自らの経験に基づいて的確なアドバイスができます。男性の部下も上司が女性であれば相談しやすい場合が多いです。

 

3.こんな女性管理職は嫌だ!同僚・部下のよくある声

女性管理職の強みについてご紹介しましたが、逆に女性だからこそ気を付けなければならないこともあります。周りの上司や部下はどんなことに困っているのかヒアリングしてみました。

(1)感情的になりやすい

これは、男性と女性の脳の構造の違いが影響しています。男性は会話をするときに言語中枢がある左脳だけを使うのに対し、女性は右脳と左脳の両方を使うこと、また女性は男性よりも右脳と左脳を繋ぐ脳幹が太いことが知られています。このため、女性は会話をするときに脳内に必要のない情報が混在し、理論立てて話ができなくなってしまうことがあります。

(2)すぐ泣きだしてしまう

女性は男性と比較して、感情が動くと涙が出やすいようです。これは生理現象の一つで、女性は自分が泣きたくて泣いているわけではないので、意志の力で止めようと思っても上手くいきません。とはいえ、ビジネスの場で涙はタブーとされています。特に男性は、この涙が出てしまう現象を理解することができないため、「女は泣けばなんでも許されると思っている」と批判されてしまいます。(逆に男性はマイナス感情の動きを「怒り」として発散する傾向にあります。)

(3)完璧主義で意見をハッキリ言いすぎる

女性の強みである細やかさ、気配りができるということが裏目に出るパターンです。仕事に対する責任感や正確さは確かなものですが、クオリティーの追及・部下の成長を願うあまりに、細かいところまで意識してしまう傾向があります。本人は良かれと思っても、あまり意見をハッキリ伝えすぎると、部下は上司が厳しすぎると感じたり、「なんでこんなことまで言われないといけないのか?」と不満に感じる人もいるようです。

 

4.女性管理職として取り組むべきこと

女性管理職として活躍するためには、管理職に求められる役割・スキル以外にも、女性ならではの強みを生かすことが必要です。

(1)ロジカルなコミュニケーションを身につける

例えば部下が失敗をしたとき、それを感情的に怒ったり責め立てる女性がいます。「あなたはいつも〇〇〇…」「男なのに(女なのに)しっかりしてよ」など、話の内容に直接関係のないことまで持ち出してしまいヒートアップ。このようなコミュニケーションでは問題を解決できないばかりか、部下との信頼関係を壊してしまうでしょう。部下指導の際は、目の前の事実だけに目を向け、業務遂行のために必要なポイントを押さえて話をしましょう。

(2)ワークライフバランスの実現を目指す

男性に比べ、女性はワークライフバランスを重視する人が多いです。管理職である女性自らが率先してワークライフバランスの実現に向けて行動することで、部下や周りの社員が働きやすい環境をつくることができ、社員のモチベーションアップにつながります。また、効率よく業務を行うことで生産性もアップします。

(3)多様な視点を持つ

まだまだ日本は男性社会。ビジネスも「男のルール」で動いています。だからといって、男性と同じ働き方をする必要はありません。女性は男性と比べて出産・子育て・介護など様々な経験がある人が多く、仕事とプライベートの調和を重視します。また、脳の構造が違うため、基本的な考え方も違います。この男性との違いを自身の働き方や業務に生かし、組織に新しい風を吹かせましょう。このことが男女ともに働きやすい環境をつくり、ひいては組織の発展につながります。

 

5.まとめ

今回は、女性管理職の強みや取り組むべきことについてご紹介しました。女性管理職として働くことは求められる責任も大きいですが、それ以上にやりがいや自信など得られるものも多く、自分自身が人として成長する大きなチャンスになるでしょう。もし、あなたの前にそのチャンスがあるのであれば、臆することなく挑戦してみることをオススメします。

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※女性活躍推進法に基づき全国の企業が女性の活躍状況に関する情報・行動計画を公表しています。
女性の活躍推進企業データベース
http://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/

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