育休が最長2年に!育児・介護休業法改正が働くママ・パパへ与える影響

働き方改革の施策の一つとして、2018年1月、10月に「育児・介護休業法」が改正され、育児休業が最長1年6か月から最長2年に延長されました。この法改正により、育児をしながら働くママ・パパの働き方にどのような影響が起きているのでしょうか?
本記事では、育児・介護休業法の改正内容、改正後のメリット・デメリットなどを紹介します。

 

1.育児休業は必ず取れる?対象となる条件は?

育児休業(以下、育休)は1歳に満たない子どもを養育する男女であれば、子どもが1歳になるまでの希望する期間、企業に申請することで取得することができます。これは労働基準法で定められた労働者の「権利」であり、企業は自社の就業規則に関わらず、その申し出を断ることはできません。

(1)育休を取得できる期間はどのくらい?

育休期間は、原則、産後休業(出産~産後8週)の翌日から子が1歳になる前日までとなっています。しかし、両親ともに育児休業を取得する場合、子どもが1歳2か月に達するまでの間に、それぞれ 1年間(母親は、産後休業期間と育児休業期間を合わせて1年間)育児休業を取得することができます。(パパ・ママ育休プラス)
(参考)厚生労働省「両親で育児休業を取得しましょう!」

(2)育休を取得するための条件は?

育休は次の条件を満たす労働者に適用されます。

・同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている
・子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれる
・子どもの2歳の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでない
(引用)厚生労働省「子育てをしながら働き続けたい パート社員 派遣社員 契約社員 あなたも取れる!産休&育休」

 

上記の条件を満たせば、派遣社員やパートタイマーなどの有期契約労働者も育休を取得することができます。
2018年1月に有期契約労働者の育休に関する法改正がありましたので、詳細は次項で解説します。

ちなみに、専業主婦・主夫の配偶者がいても、労働者は育休を取得できるのでしょうか?
答えは「YES」です。

実は、以前は認められていませんでしたが、平成22年6月30日の法改正により、労働者の配偶者が働いていない場合でも育休を取得できるようになりました。

 

2.育児・介護休業法の改正内容と背景

今回の法改正で、働くママ・パパの労働環境はどのように変わったのでしょうか。育児休業に関する内容に絞ってポイントを解説します。

(1)2018年1月の改正内容は?

ポイント1:有期契約労働者の育児休業の取得要件の緩和

改正前は、有期契約労働者については、以下の要件を満たす場合に育児休業の取得が可能とされていました。

・申出時点で過去1年以上継続して雇用されていること
・子が1歳になった後も雇用継続の見込みがあること
・子が2歳になるまでの間に雇用契約が更新されないことが明らかである者を除く

改正後は、以下の通りに要件が緩和されました。

・申出時点で過去1年以上継続して雇用されていること
・子が1歳6か月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと

これにより、子どもが1歳になった後に雇用契約があるかどうか分からない有期契約労働者でも、育児休業が取得できるようになりました。ただし、上記の条件を満たしていても、労使協定で次の条件を定めている場合は、企業は労働者の申出を断ることができます。

・雇用期間が1年に満たない労働者
・育休の申出日から1年以内に雇用関係が終了する場合
・1週間の所定労働日数が2日以下の場合

ポイント2:育児休業等の対象となる子の範囲の拡大

改正前の制度では、育児休業や子の看護休暇などが取得できる対象は、法律上の親子関係がある実子・養子に限られていましたが、改正後は、特別養子縁組の監護期間中の子や養子縁組里親に委託されている子等も新たに対象となりました。

ポイント3:マタハラ・パタハラなどの防止措置の新設

女性労働者に対する「マタニティ・ハラスメント」、男性労働者に対する「パタニティ・ハラスメント」は、妊娠・出産・育児休業の取得を理由に、職場で上司や同僚から不当な扱いや嫌がらせをを受けることを指します。法改正では、企業はハラスメントを防止するための指針を明確化し、労働者へ周知・啓発、相談窓口の設置、被害者に対する配慮、行為者に対する措置、再発防止の措置などを講じることが義務付けられました。

(2)2018年10月1日の改正内容は?

ポイント1:最長2歳まで育児休業の再延長が可能

これが今回の改正の最大のポイントとなる部分です。
これまでは、育休期間は原則子どもが1歳に達するまで(ただし1歳の時点で保育所に入れない等の事情があれば1歳6か月まで)育児休業の延長が可能でした。しかし、今回の改正により、1歳6か月に達した時点で保育所に入れない等の場合に、再度申出することによって育休期間を最長2歳まで延長できるようになりました。

この改正の背景には、全国的な保育所不足による待機児童問題があります。
例えば、8月1日生まれの子どもは、1歳になったタイミングの8月で保育所への入所が叶わなかった場合、これまでのルールでは1歳6ヶ月になる翌年2月1日まで育休の延長が可能でした。しかし、一般的に保育所は年度初めとなる4月が、1年のうちで最も入所しやすいタイミングと言われています。地域にもよりますが、待機児童問題が深刻な岡山県岡山市や倉敷市中心部では、年度途中の2月に入所するのは厳しいのが現状です。

上記の問題が、法改正によって最大2歳まで延長可能になったことで、子どもが1歳6か月になったタイミングで保育所に入所できなかった場合でも、2歳になるまでに保育所に入所できれば、母親は退職せずに職場に復帰することが可能となりました。さらに、育休中にハローワークから支給される育児休業給付金の受給期間も、この法改正に合わせて最長2歳まで延長となりました。なお、「パパ・ママ育休プラス」も今回の法改正により延長の対象となっています。また、育児休業給付金もパパ・ママともに受給を延長できます。

ポイント2:育児休業等制度の個別周知

厚生労働省の調査によると、育休を取得しなかった理由として「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった」という回答が一定数ありました。このような背景から、法改正では、事業主側から個別に育児休業等に関する定めを周知する努力義務が規定されました。事業主は、労働者又はその配偶者が妊娠・出産した場合、当該労働者に対して、個別に育児休業の制度概要(育休中の待遇、育休終了後の賃金・配置、その他の労働条件、復職時期、育休中の保険料の支払いや受給について等)を説明しなければなりません。

ポイント3:育児目的休暇の新設

事業主に対し、就学するまでの子どもを養育する労働者が、育児に関する目的で利用できる休暇制度(例えば、配偶者出産休暇、入所式等の行事参加を含めた育児にも使える多目的休暇など)の措置を設けるよう努めることが義務付けられました。現状では、男性労働者が配偶者の妊娠・出産に際して取得した休暇・休暇制度は、年次有給休暇制度等、育児休業制度以外の休暇が多く利用されています。この法改正により育児目的休暇が認められるようになれば、男性もより育児に参加しやすくなることが期待されます。

(参考)厚生労働省「育児・介護休業法の改正事項 (男性の育児休業等取得促進関係)」

 

3.育休延長のメリット・デメリット

法改正により育休が最長2年に延長されたことで、働くママ・パパにどのような影響があるのでしょうか。

メリット

・保育所に入所できなかった場合に、入所が決まるまでの間、有給休暇を使用しなくて良い
・(上記と同じ状況の場合)欠勤・休職扱いにならない
・育児休業給付金の受給を延長できる
・子どもと長い時間一緒に過ごすことができる
・資格取得やキャリアアップのための勉強ができる

一番のメリットは、育児休業給付金を受給しながら、保育所に入所できるまで子育てに専念できることでしょう。その期間は子どもとじっくり向き合うことができますし、空き時間を使って資格取得などに取り組むことも可能です。

デメリット

・仕事のブランク期間が長くなる
・収入が得られない
・延長しても必ず保育所に入所できるという保証はない
・2人目以降の妊娠・出産とキャリア形成のタイミングが難しい

デメリットとしては、仕事のブランク期間が長くなることが挙げられます。職場から長期間離れることで、復帰後に上手くやっていけるか、自分の居場所があるのかという不安を抱える人も多いです。また、育児休業給付金だけでは経済的に生活が厳しいという声も。
また、2人目、3人目の妊娠を望んでいる場合、どのタイミングで妊娠・出産をするのが、今後のキャリア形成の上でベストなのか悩むケースも多くあります。

これらのメリット・デメリットをよく比較・検討したうえで、各家庭の事情に合わせて育休を延長するかどうかを判断することが大切です。

 

4.もし育休取得を断られたらどうする?

残念な話ですが、育休の取得を企業に申し出ても、「うちには育休制度はない」「忙しいから育休は取れない」「育休を取るなら退職してほしい」と言われてしまった…という話を良く耳にします。

万一、企業に育休取得の申出を拒否された場合は、以下の対応をしてみることをオススメします。

(1)会社に労働基準法で育児休業の取得が認められていることを伝える

会社の上司・担当者に、育児休業制度は法律で定められている制度であることを伝えましょう。中小企業の場合、過去に育休を取得した社員の事例がないと、そのような制度があることを知らなかったというケースもあります。この場合、法律で定められていることを説明すれば、すんなりと対応してもらえることがほとんどです。

(2)都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談する

企業に育児休業制度について説明しても育休の取得が認められなかった場合は、労働局に相談しましょう。労働局では、妊娠・出産、育児休業等を理由とする不当な扱いやハラスメントに対する相談を受け付けており、会社に対して指導を行ったり、会社との間に紛争が生じている場合は、助言、調停など解決のための援助を行ってくれます。

なお、不当な扱いとは次のような内容を指します。

・解雇
・雇い止め、契約更新回数の引き下げ
・退職や正社員を非正規社員とするような契約内容変更の強要
・降格、減給
・賞与等における不利益な算定
・不利益な配置変更
・不利益な自宅待機命令
・昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行う
・仕事をさせない、雑務をさせるなど就業環境を害する行為をする

(参考)厚生労働省 リーフレット「職場でつらい思いしていませんか?」

5.まとめ

政府による働き方改革により、働くママ・パパの働く環境は少しずつ改善されてきています。特に、妊娠・出産を機に仕事を辞めざるを得なかった女性たちが、自身のキャリアを途絶えさせることなく働き続けられる環境を整えることは、子育て世代の若い労働力確保を狙う政府にとって必要不可欠であり、働くママにとっても、育児と仕事を両立し、自己実現可能な社会をつくっていくうえで重要なポイントとなります。
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