働き方改革で何が変わる?ワークライフバランスで“あなたらしく”働こう

「働き方改革」は、「働くこと」について多くの問題を抱える日本において、日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本の働くということに対する考え方そのものを変えていこうとする取り組みのことです。政府は労働者が多様な働き方を選択できる社会を実現するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保など、法律や環境の整備を行っています。
本記事では、その取り組みの一つである「ワークライフバランス」についてご紹介します。

 

1.働き方改革の背景

(1)少子高齢化と労働人口の減少

「働き方改革」の背景には、「少子高齢化」と「労働人口の減少」という大きな問題があります。
日本の少子高齢化問題は非常に深刻で、国立社会保障・人口問題研究の調査によると、2030年にはすべての都道府県で人口が減少し、2048年には1億人を切ると推測されています。さらに2060年には8674万人、このうち4割が65歳以上の高齢者になると言われています。また、労働力の主体となる生産年齢人口(15~64歳)は1995年以降、年々減少。このままの人口推移でいくと、2110年頃には、生産年齢人口は現在の半分になると推測されています。

これらの問題を悪化させる原因の一つに、日本の労働環境の問題があります。現在の日本では、「長時間労働」「正規・非正規の不合理な処遇の差」「子育てや介護等との両立」「副業・兼業など働き方の多様化」などの様々な課題があることに加え、労働生産性の向上を阻む多くの問題が存在します。

例えば、女性の社会参加等が進み、勤労者世帯の過半数が共働き世帯になっているにも関わらず、働き方や子育て支援などの社会的基盤はこうした変化に対応したものとなっていません。仕事と育児の両立の難しさから出産を機に退職する女性は6割と多く、正社員として働きたくても働けない女性が多く存在します。また、男性の育児参加率は他の先進国より低く、家事や育児に関わる時間はアメリカやヨーロッパと比較すると半分以下です。この原因には、男性の長時間労働、職場や家庭、地域の男女の固定的な役割分担意識が残っていることが挙げられます。こうした問題により、子育てのしにくさから子どもを産むことを諦めざるを得ない状況となり、少子化を加速させる要因の一つとなっています。

引用:内閣府 子ども・子育て本部「少子化対策キッズページ」

(2)労働生産性の低さ

労働生産性とは、1人の労働者が1時間にどのくらいのモノやサービスを生み出したかを示す指標です。日本生産性本部が2017年12月に発表した調査結果によると、日本の労働生産性はOECD加盟35カ国中20位。調査を始めた1970年以降、G7の中では最下位の状況が続いています。ちなみに、OECDがまとめた2015年の統計によると、日本の就業者1人当たりの年間実労働時間は1,719時間となっているのに対し、日本より労働生産性の高いドイツやフランスは年間実労働時間が15~20%ほど短いという結果が出ています。

日本は「長時間働けば成果が出る」「残業している人ほど頑張っていると評価される」という、長時間労働を美徳とする考え方がいまだ根強く残っています。しかし、この調査結果を見て分かるように「労働時間=成果」ではありません。これからの日本は「時間」に縛られるのではなく、「いかに効率よく成果を出すか、そのためにどのような働き方が求められているのか」ということを考えていく必要があります。

出典:公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2016年版」

 

2.働き方改革を実現するための課題

上記の問題を解決すべく、政府は「働き方改革」を掲げ、次の3つの課題に取り組んでいます。

(1)正規・非正規の処遇改善
・正規・非正規に関わらず、自らの評価に納得して意欲を持って働ける処遇を与える。

(2)時間・場所など制約の克服

・健康に、柔軟に働くためにワークライフバランスを実現する。
・仕事と子育て・介護などを、無理なく両立するための環境をつくる。

(3)キャリアの構築

・ライフスタイルやライフステージの変化に合わせて、多様な仕事を選択可能にする。
・家庭の経済事情に関わらず、希望する教育を受けられる環境をつくる。

次項では、これらの課題の中でもよく注目されている「ワークライフバランス」について取り上げていきます。

 

3.ワークライフバランスって何?

「ワークライフバランス」とは「仕事と生活の調和」を意味します。

内閣府の「憲章」によると、「仕事と生活の調和」が実現した社会とは、

国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会
引用:内閣府「「仕事と生活の調和」推進サイト」ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて」

とされ、具体的には次のように記されています。

(1)就労による経済的自立が可能な社会
経済的自立を必要とする者、とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。

(2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。

(3)多様な働き方・生き方が選択できる社会
性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。
引用:内閣府「「仕事と生活の調和」推進サイト」ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて」

 

4.ワークライフバランス実現のために必要なこと

「ワークライフバランス」と聞くと、どのようなイメージがありますか?

「仕事とプライベートはきっちり分けよう」
「残業をなくして定時で帰ろう」
「残業しないために業務を効率化しよう」
「どんどん有給休暇を使おう」

日本では長時間労働が社会問題となっており、「残業が多くてプライベートでやりたいことができない」と嘆くビジネスパーソンが多いのが現状です。そのため、ワークライフバランスと言うと、「働く時間を減らし、有給休暇を取得させ、プライベートの時間を増やす」ことに意識を向けがちです。しかし、これらの取り組みだけでワークライフバランスは実現するのでしょうか?

確かに残業が禁止され、有給休暇を自由に使うことができれば、プライベートの時間を趣味に使いたい人、家族と過ごしたい人、育児や介護をしなければならない人、勉強したい人にとっては助かります。しかし、中には残業なんて気にせずにバリバリ働いて稼ぎたい人、仕事が楽しくて仕方がない人もいるでしょう。残業が減ったことによる給与の減少、時間内に業務が終わらなかったことによる持ち帰り残業、生産性の低下などの問題が起こることも考えられます。また、職場にワークライフバランスの制度はあっても、上司や同僚の理解が得られず、制度を活用できないという悩みもよく耳にします。

このように、単に労働時間を減らしたり休暇を増やすだけでは、本当の意味でのワークライフバランスは実現しません。ワークライフバランスは、個々が望むライフスタイルを実現するためのものであり、労働者自らが働き方を選択できるものでなければなりません。ワークライフバランス実現のためには、まずは自分がどのようなライフスタイルを望んでいるのか、そのためにどのような働き方をしたいのかを考える必要があります。

 

5.企業によるワークライフバランスの取り組み

近年、ワークライフバランスに取り組む企業が増えてきました。大手企業だけなく、中小企業の間でも少しずつ意識が高まっています。時短勤務やフレックスタイム制の導入をはじめ、独自の面白い取り組みをしている企業もあり注目を浴びています。

<取り組み例>
・フレックスタイム制度
・在宅勤務制度(テレワーク)
・子連れ出勤制度
・副業・複業許可
・リフレッシュ休暇
・ノー残業デー
・プレミアムフライデー など

<岡山の企業の取り組み>

岡山市White+(ホワイトプラス)企業
従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する 「健康経営」及び従業員一人ひとりの仕事と生活の調和を図る「ワークライフ バランス」の両方を積極的に推進する企業を紹介しています。

おかやま子育て応援宣言企業
仕事と育児が両立できる環境の整備や地域における子育て支援等に積極的に取り組むことを宣言した企業・事業所を紹介しています。

<広島の企業の取り組み>

仕事と家庭の応援サイト 仕事と家庭の両立支援企業のご紹介
広島県で「仕事と家庭の両立支援」に取り組む企業を検索できます。

イクボス同盟ひろしま
日常の暮らしや育児の楽しさを共有できる社会の実現を目指す男性の育児参加を応援する経営者を紹介しています。

広島市男女共同参画推進事業者表彰
女性の能力発揮や職域拡大、仕事と家庭・地域活動との両立支援などに積極的に取り組んでいる事業者を表彰しています。

 

6.新しい考え方 ワークアズライフ・ワークライフハーモニー

最近、ワークライフバランスに代わる取り組みとして、「ワークアズライフ」「ワークライフハーモニー」という言葉が、少しずつメディアに取り上げられるようになってきました。この2つの考え方について簡単に紹介します。

ワークアズライフ = 仕事と生活の一体化

落合陽一氏(筑波大学准教授)が提唱する考え方で、「仕事と生活を切り離すのではなく、両者は共存している」「食べて寝ている以外はすべて仕事であり趣味である状態」を指します。

ワークライフハーモニー = 仕事と生活の調和

ジェフ・ベゾス氏(Amazon CEO)が提唱する考え方で、「仕事と生活はバランスを取り合うものではなく、どちらも充実させて互いに調和した状態」を指します。

2つの定義は少し異なりますが、共通して言えるのは「仕事とプライベートを切り離さないこと」です。
ワークライフバランスのように両者を分けると、どちらかに偏りができたときに問題が生じます。しかし、両者が一体であり一続きであれば、「どちらが大変、どちらが楽しい」という意識は生まれません。また、調整してバランスを取ろうとする必要もありません。仕事も趣味も生活も調和し、楽しみながら生活できる、それが「ワークワズライフ」と「ワークライフハーモニー」です。

しかし、これらの考え方は、経営者や自営業者の場合においてはイメージしやすいかもしれませんが、会社員のように雇用される立場だと、このような働き方・生活をするのはなかなか難しいかもしれませんね。

 

7.まとめ

「働き方改革」を進めるうえで、政府や企業は様々な取り組みを行っています。しかし、それらは必ずしも自分のライフスタイルにあったものばかりではありません。また、中小企業や小規模企業、地方の企業では、まだまだ「働き方改革」という意識が浸透されていないのが現状です。そんな中で自分が生き生きと働き、幸せな生活を送るためには、企業に依存した働き方をするのではなく、自分にとってベストな働き方を自ら選択していく必要があります。

現状の働き方での実現が難しい場合は、雇用形態・契約形態の見直し、転職、フリーランスへの転向、起業、副業・複業といった選択肢も見えてくるかもしれません。自分が理想とする働き方・ライフスタイルに合った方法を探してみましょう。

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