どの介護職を選ぶ?入所系、通所系、訪問系の仕事内容と給与の実態を解説!

「介護職」と一括りにいっても、介護職には様々な形態の働き方があります。施設の種類やサービスの内容によって、仕事内容だけでなく必要な資格や給与額も変わります。ということで、今回は介護職を目指す人や介護職での転職を考える人のために、介護職を下記の3つに分類し、「給与」について比較していきます。

1.施設への入居・入所系
2.通所系(デイサービス・デイケア職員など)
3.訪問系(ホームヘルパー)

 

目次

1.仕事内容

(1)施設への入居・入所系の仕事内容

入居・入所系の仕事内容は、その施設によって大きく異なるため、施設毎に紹介します。

特別養護老人ホームでの仕事内容

入居・入所型の介護職の代表的な施設に特別養護老人ホーム(以下、特養)があります。運営を自治体や社会福祉法人がしているケースが多く、どちらかといえば公的な位置づけの施設が多いのが特徴です。特養の入所対象者は要介護レベル3以上の高齢者が入居するのが基本で、介護職の視点から見ると寝たきりの方が多いです。そのため、入居者への身体介護(食事の介助、清拭や入浴の介助、体位変換、移動介助など)が必要なため、「身体介護」に必要な介護の資格を保有している必要があります(必要な資格は「4.介護職で給与を上げるなら資格を取得しよう」にて後述)。
※特別養護老人ホームでも、身体介護をせずに掃除や洗濯など生活援助をする場合であれば、資格がなくても働くことができます。

介護付き有料老人ホームでの仕事内容

介護付き有料老人ホームは、特養とは異なり、主に民間企業が運営している事が多いです。高級老人ホームや割安な老人ホームがあり、利用者が自分に合った施設を選べます。費用の面では、月額の利用料以外に入居時に一時金等がかかるケースもあります。特養と介護付き有料老人ホームの大きな違いは、「要介護レベル3以上」などの入居条件が無いことです。要介護度が比較的軽めの利用者や、要介護より程度の低い要支援の利用者も多く、ホームによっては自立している利用者が多い場合もあります。そのため、特別養護老人ホームのように「身体介護」を行う場合もあれば、掃除、洗濯、調理などの「生活援助」を行う場合もあり、施設によってその割合に差があるのも特徴です。

認知症型グループホームでの仕事内容

認知症の高齢者が共同で生活するのがグループホームです。9人までを1つの単位(ユニット)として共同生活をし、その中で介護を行います。食事、排せつ、入浴の介助が中心になります。他にも利用者の認知症の進行を遅らせるために、介護職員も利用者と一緒に外出したり、軽作業や家事をしたりします。介護職の視点で見ると、精神疾患を持つ方もいるので、介護職員は他の施設とは異なる対応力が必要であり、よりきめ細やかな対応が求められています。

(2)通所系(デイサービス・デイケア職員など)の仕事内容

通所系の仕事内容は、デイサービスとデイケアがあります。

デイサービスの仕事内容

日中の時間帯に、利用者の食事や入浴の介助や機能訓練を行うのがデイサービスです。デイサービスは、利用者の社会的孤立感の解消や生活の活性化など、健全な生活を送ってもらうことを目的としているため、日中・夜間ともに社会的孤独状態になる「自宅に住む高齢者」が利用する場合が多いです。そのため、送迎も業務に含まれ、施設によっては利用者がそのまま宿泊できる、いわゆる「お泊りデイサービス」を実施しているところもあります。こういったサービスのため、介護職員は朝に利用者を迎えに行き、施設内では食事や排せつの介助をします(入浴設備があるデイサービスでは、入浴介助も行います)。また、デイサービスは、ただ食事やおやつを出したりお風呂に入れたりするだけではなく、職員やほかの利用者との交流を図り、レクリエーションなどによって生き甲斐を創ることも大事な仕事です。そのため、介護職員が持ち回りなどでレクリエーション担当を決め、その職員が中心になり進めていきます。レクリエーションはただ楽しいだけでなく、利用者の身体状況や好みなどを把握しながら構成する事も求められ、最近では利用者からレクリエーションに機能訓練の要素を要求されることもあります。そのため、医療や理学療法などの知識があると仕事の評価が高くなりやすいです。

デイケアの仕事内容

医師の指示のもと、リハビリに重点を置き日帰りでサービスを提供するのがデイケア(通所リハビリテーション)です。機能訓練の程度が高く、リハビリテーションの必要性が高い方、医療的ケアが必要な方が通います。そのため、施設は介護老人保健施設、病院、診療所に限定され、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、医師などが在籍しています。
利用者は、2・3時間などの短時間利用も可能ですが、デイサービスと同様、多くの場合、送迎が実施されます。リハビリ以外にも入浴・食事・排泄などの介助を提供する施設もあります。介護職員はデイサービスと同様の介護能力に加えて、医療や理学療法などの知識がより求められます。

(3)訪問系(ホームヘルパー)の仕事内容

「自宅」で暮らす要介護者の日常生活の援助を行う介護職で、ホームヘルパー(訪問介護員)と呼ばれます。決められた時間に要介護者の自宅を訪問し、必要な介護サービスを行います。どんなサービスを行うかは要介護の状況によって異なりますが、介護保険のスペシャリストであるケアマネージャーや介護サービスの提供責任者と、あらかじめ利用者や家族との間で相談のうえ決定されています。

そのうえで、ホームヘルパーは「身体介護」「生活援助」「通院介助」の3つを担います。

身体介護
排せつ、食事、着替え介助、入浴など、身体に直接触れて行う介助、それに伴う準備や片付け等です。
※このほか、法令で定められた条件のもと一定の研修を受けた職員が、たんの吸入や経管栄養などを行う事業所も増えています。

生活援助
掃除、洗濯、調理、買い物などの家事の援助や、薬の受け取りなど。身体に直接触れない範囲の身の回りのお世話です。

通院介助
ホームヘルパーが自ら車を運転し、利用者を病院へ連れて行き、移動(歩行・車椅子走行など)や受診手続きを介助します。

これらをまとめると、ホームヘルパーの仕事は家事代行に似た部分があります。しかし、訪問介護は「要介護者の日常生活」をサポートするものであり、利用者さん個人の基礎的な生活の介助をするサービスのみが対象となります(たとえば、大掃除や庭の草刈りなど、大がかりな家事は支援対象外です)。
しかしその一方で、ホームヘルパーは要介護者や家族に生活上のアドバイスや精神的なサポートをすることも期待されています。介護が必要になると、外出や社会との接点が減り、気持ちが沈みやすくなります。そんな中で、「自宅に来てくれるホームヘルパーが、もっとも身近な相手」というケースは少なくありません。また、要介護者の家族の多くは介護疲れを感じています。ホームヘルパーは、介護の仕事を通じて家族の負担を軽減することもできます。ホームヘルパーは家事代行ではなく、在宅介護という広い範囲をカバーする専門家なのです。

 

2.給与比較

入居・入所系、通所系、訪問系の給与比較を紹介します。

入居・入所系及び通所系の介護職の1ヶ月の平均給与

<月給・常勤の場合>
給与額:289,780円/月(基本給+手当)
基本給額:179,680円/月
勤続年数:7.2年

<時給・非常勤の場合>
給与額:96,080円/月(基本給+手当)
基本給額:1,110円/日

出典:厚生労働省「平成28年度 介護従事者処遇状況等調査結果の概要」

介護施設では夜勤手当が大きく影響するため、通所系より入居・入所系の介護施設の方がより給与が高い傾向があります。入居系の介護施設や高齢者向け住宅には、様々な種類があります。規模も、100人以上入居する大型施設から10人未満の小規模なものまで幅広く、運営法人も民間企業・社会福祉法人・医療法人・社会福祉協議会・NPO法人など多岐に渡ります。また、最近では異業種からの事業参入も相次いでいます。そのため、運営組織によって給与額が異なっており、ボーナスの有無や福利厚生の充実度にも大きな差があります。

訪問系の1カ月の平均給与

<月給・常勤の場合>
・給与額:238,700円/月(基本給+手当)
・勤続年数:6.6年

出典:厚生労働省「平成29年 賃金構造基本統計調査」

訪問系(ホームヘルパー)は入居・入所系及び通所系の施設と比較して、給与がやや低い傾向がありますが、運営組織や資格の有無によって給与に大きな差が出ます。

 

3.どんな施設で働くと収入が高いの?

施設の運営組織には、社会福祉法人や医療法人、民間企業などがあります。その中でも、社会福祉法人が運営する施設は、給料が低くても都道府県の公務員に準じた給料体系である場合もあり、期末手当や福利厚生がしっかりしているところもあります。また、運営組織の規模が大きいほど給与額も多くなる傾向にあります。資格手当については、ヘルパー1級、2級と比較すると介護福祉士は若干給与面で上乗せがあります。施設によっては、介護福祉士の資格手当が3,000円から10,000円程度付くこともあります。また、より上位の資格である介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得していると、待遇面で優遇される可能性があります。

 

4.介護職で給与を上げるなら資格を取得しよう

介護の仕事は、資格が必須なものと無資格でできるものがあります。介護職は給与が低いと言われていますが、実際は資格の有無で給料に大きく差が出ます。例えば、介護の入門資格といわれる「介護職員初任者研修」の資格をもっている人は、無資格の人と比べて月2万円ほど給料が多いと言われています。また、資格を持っていることで転職にも有利になるというメリットもあります。

資格にも種類があり3ヶ月程度で取得できるものから、難易度の高い国家資格までさまざまです。

代表的なものは、主に以下の3つです。

介護職員初任者研修

比較的簡単に取得できるのが介護職員初任者研修です。130時間の基礎知識・倫理・実務を学び、最後の試験に合格することで取得できます。

実務者研修

実務者研修は、介護職員初任者研修よりもさらに詳しく幅広い知識や技能を身につけられる民間資格です。基本的な介護提供能力の修得に加え、医療的ケアに関する知識や技能の習得が大きな目的で、かつてのホームヘルパー1級や介護職員基礎研修に相当するものです。

介護福祉士

介護福祉士は、直接介護を行う資格の中で最上位の国家資格です。介護福祉士の資格を取得するには、一定の実務経験を経てから所定の研修を修了するルートや、福祉系の学校・養成施設を卒業するルートなど、複数のルートがあります。

 

4.自分に合った介護職を見つけるために転職エージェントを活用しよう

介護職は将来性が高く、求人の多い職業です。そのため、ハローワーク、求人誌、求人サイトでも多くの求人を確認できます。
しかし、ニーズが高い分、自分にあった職場を見つけるには、多くの求人を比較してエントリーして面接を受けて…となると、転職活動には多くの時間と労力がかかってしまう問題を抱えております。

そこで、ぜひ活用していただきたいのが「転職エージェント」です。転職エージェントは、転職事情に精通した専門コンサルタントが求職者の希望する条件を把握し、適性と希望をしっかり見極めた上で求人紹介を行います。紹介する求人は一般には公開されていない、いわゆる「非公開求人」も多く取り扱っており、求人サイトやハローワークでは出会えない求人を紹介してもらえる可能性も高いです。

また、求人の紹介のみならず、転職相談、書類の書き方、面接アドバイス、入社まで、転職成功に向けたサポートを無料で受けられます。例えば求人企業の社風や年齢構成、詳細な仕事内容、中途入社の割合、実際にもらえる年収など、直接応募ではなかなか聞けない情報をコンサルタントを介して聞くこともできます。

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5.まとめ

「給与が低い」「待遇が悪い」という問題で介護の仕事に踏み切れない人、介護の仕事を続けようか悩んでいる人は、まずは給与をアップできる方法を考えてみましょう。
特に資格の有無で給料は大きく変わるため、資格の取得は推奨されます。実際に多くの施設では、有資格者に対して「資格手当」が支払われますし、転職するときにも資格があることで有利になります。働きながらでも資格取得は可能です。県から教育訓練経費(入学金、受講料、必須テキスト代)の一部が補助される制度もあります。
一方で、「早く給与を上げたい!」という肩は、転職エージェントを上手く活用すれば、今の待遇よりも良い施設が見つかる可能性が高まります。
「せっかく希望した介護職に就けたのに、給与が少なくて辞めざるを得ない」といったことにならないように、資格取得や職場選びはよく考えて行っていきましょう。

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