「職務経歴書」は、初めて転職活動を行う人には馴染みがない言葉かもしれません。職務経歴書は、自分のこれまでのキャリアやスキルを、企業にアピールするための重要な書類です。また、書類選考通過後の面接時の資料としても使用されます。
もし、「面倒だし適当に書いておこう」「複数社を同時に受けるから書類は使い回そう」「自己PRは面接のときにすればいいや」となどと考えている人は要注意。この職務経歴書の内容は、あなたの人生を左右するほどの大きな力を持っています。
今回の記事では、職務経歴書の基本と採用担当者の目に留まる書類作成のポイントをご紹介します。初めて職務経歴書を書く人はもちろん、書類選考になかなか通らなくて苦戦しているという人も、参考にしてみてください。
目次
1.履歴書と職務経歴書の違い
履歴書と職務経歴書は似ているようですが、それぞれに明確な役割があります。
それぞれの特徴と記載項目を比較してみました。
履歴書
応募者のプロフィールを確認するものです。
必須の項目と任意の項目があり、1枚に集約されています。
市販の履歴書用紙を購入するか、Web上からダウンロードした用紙を使用すると便利です。
必須 | 日付 |
証明写真 | |
氏名 | |
生年月日 | |
現住所・電話番号 | |
連絡先・電話番号 | |
メールアドレス | |
学歴 | |
職歴 | |
免許・資格 | |
任意 | 志望動機 |
自己PR | |
趣味・特技・得意分野 | |
健康状態 | |
扶養家族の人数 | |
配偶者の有無・配偶者の扶養義務 | |
通勤時間 | |
本人の希望記入爛 |
職務経歴書
応募者のこれまでの職歴や経験・知識・スキルなどを記載する書類です。
通常、A4サイズ1~2枚にまとめるのが一般的です。
決まったフォーマットは無く、「日付」「氏名」「職務要約」「職務経歴」以外の項目は任意です。
また、応募業種や職種によって、記載内容やアピールポイントが変わります。
任意の項目は履歴書と重複する場合、どちらか一方への記載で問題ありません。
必須 | 日付 |
氏名 | |
職務要約(まとめ) | |
職務経歴(在籍期間・企業名・事業内容・資本金・従業員数・業務内容・実績等) | |
任意 | 免許・資格 |
自己PR | |
志望動機 | |
転職理由 | |
経験・知識・技術 |
2.印象の良い職務経歴書の作成ポイント
企業との面接の機会を得られるかどうかは、第一関門である応募書類にかかっています。たくさんの応募書類の中から採用担当者の目を引き、好印象を与えるために、次のポイントを意識して作成しましょう。
(1)フォーマット
職務経歴書には決まったフォーマットが無いため、自分が使いやすいものを選びます。パソコンを使って自分で作成してもいいですし、Web上で検索すれば、職種に合わせたいろいろな種類のフォーマットを無料でダウンロードすることができます。
(2)使用フォントとフォントサイズ
フォントは明朝体やゴシック体などクセがなく読みやすいものを使用し、書類内のフォントは統一します。また、文字のサイズは9pt以上、11~12ptが読みやすいとされています。
(3)1項目あたりの文字数
職務要約・志望動機・自己PRの文字数は、200~300文字程度が目安です。書くことが無いからと言って短すぎたり、逆に内容をまとめきれずに文章が長くなってしまうと、「この人は物事の要点を簡潔に伝える能力がない」と思われる可能性があるので要注意です。
(4)項目の数と内容
これまでの職歴や業種・職種によって、項目数や内容は異なります。項目毎に見出しをつけて読みやすくしましょう。
(5)文章
1つの文章は長くならないよう、句読点と改行を適切に用いて読みやすくします。また、会社名や専門用語は略称ではなく正式名称を使います。誤字脱字は社会人にとって“ご法度”です。完成後は必ず間違いがないかチェックしましょう。
3.職務経歴書を書くための準備(キャリア・スキルの棚卸)
ここまでの内容で、職務経歴書の基本的なポイントは押さえられたと思います。しかし、いざ書き始めようとしても、具体的に何を書けばよいのか分からないという人も多いのではないしょうか。
職務経歴書の内容は、応募する企業によって書き分けるのが基本です。自分がどのような経験やスキルを持っていて、その企業でどのように活かせるのかを、採用担当者に適切に伝える必要があります。
もし、書類選考でたびたび落とされる人は、職務経歴書の内容が採用担当者の興味を引く内容になっていない、内容がその企業に適していないということが考えられます。特に、複数の企業に応募する際、同じ職務経歴書を使い回している人は要注意です。
職務経歴書を書き始める前に、まずは「自己分析」に取り組み、自分の「強み」を知ることをオススメします。自己分析の基本は「キャリアとスキルの棚卸」です。自分がこれまで経験してきたこと、身につけたことをすべて洗い出し、その中から自分の強みを見つけます。そこが不明確なまま職務経歴書を書き始めても、採用担当者にあなたを採用するメリットを感じさせる文章を書くことはできません。
自己分析のやり方については下記のリンク先ページでご紹介します。
4.こんなケースの志望動機や自己PRはどう書くの?
職務経歴書の内容は、その人のこれまでのキャリアによって異なります。第二新卒、転職回数が多い、自営業、アルバイトなど、様々なケースの志望動機、自己PRのポイントをご紹介します。
(1)社会人経験が浅い場合
第二新卒など、社会人経験が浅い場合は目立った実績がないため、職務経歴書に書けることが少ないという方が多いと思います。このような場合は、入社後の仕事への意欲や姿勢を伝える内容にしましょう。また、少ない経験の中でも学んだことや身に付いたことは必ずあるはずです。その経験から学んだこと、入社後に活かせることをアピールしましょう。
・入社への意欲、仕事への意欲
・前職でどんなことに取り組んだのか?
・研修や業務で何を身につけたことは?
・その経験から何を学んだのか?
・それらを入社後にどう活かせるか?
(2)転職を繰り返している場合
転職を繰り返している場合、企業から「長続きしないのでは?」「人間性に問題があるのでは?」と警戒されてしまう可能性があります。特に、1社あたりの在籍期間が短い場合は要注意です。転職の理由を書くときはネガティブな内容ではなく、今後のキャリプランが明確に伝わる内容にしましょう。
・明確なキャリアビジョンを持っているか?
・転職の動機に一貫性があるか?
・これまでの転職でどのようにステップアップしてきたのか?
・それぞれの会社で何を身につけたことは?
・身につけたことを入社後にどのように活かせるか?
(3)ルーティンワークがメインで実績を提示しにくい場合
管理職ではない一般社員で、指示を受けた業務しかやってこなかった場合、ルーティンワークがメインだった場合は、目立った実績が提示できないことが多いと思います。しかし、どのような業務でも、自分で工夫や改善を行うことは可能です。納期交渉、業務分担、工数削減、イレギュラー対応、トラブル対応、失敗のリカバリなど、具体的な業務のエピソードと取り組み、そこから得た経験やスキルについて記載しましょう。
・日々の業務で意識してきたことは?
・業務を改善するために取り組んだことは?
・トラブルや失敗をどのように乗り越えてきたか?
・そこから得た経験・スキルは?
(4)自営業・フリーランスからの転職の場合
自営業やフリーランスから正社員の道を目指す場合、なぜ個人事業を辞めてまで「雇用」という立場を選択したのかを、きちんと伝える必要があります。
また、これまで一人で仕事をしてきた人間が組織の一員となったときに、社内風土や人間関係に適応できるのかという点も、採用担当者は気にしています。職務経歴書では、前職でのクライアントやパートナーとの関わり方が分かるエピソードを記載して、コミュニケーション力をアピールしましょう。また、自営業やフリーランスで活躍してきた人は、経営的視点、提案力、問題解決力を持っていることから管理職として重宝される傾向にあります。これは中小企業を受けるうえで大きな強みになります。この点も併せて記載できるとベストと言えます。
・なぜ「雇用」という選択をしたのか
・前職でクライアントやパートナーとどのように関係を築いてきたか(コミュニケーション力があるか)
・経営的視点から物事が見られるか
・提案力、問題解決力を持っているか
(5)パートやアルバイトからの転職の場合
パートやアルバイトでの職務経験も重要なアピールポイントです。「(1)社会人経験が浅い場合」と同様に、どのようなことに取り組んできたのか、研修や業務で何を身につけたのか、その経験から何を学んだのか、具体的な内容を記載しましょう。
5.中小企業向けの職務経歴書の作成ポイント
大手企業から中小企業へ転職する際に、どのような点をアピールするかという悩みは、多くの求職者に見受けられます。
大手企業では、専門分野に特化した業務やニッチな業務を任されることが多い傾向にあります。しかし、「専門に特化した人材より、幅広くマルチな動き方ができる人材が欲しい」というのが、多くの中小企業の本音。人手不足のため、一人で様々な業務をこなさないといけないことも珍しくありません。そのため、職務経歴書にいままで取り組んできた業務内容を細かく記載しても、中小企業では役に立たないこともあります。
また、中小企業では、大手企業のように業務マニュアルや業務フローがなかったり、業務に必要な設備が揃っていないというケースもよくあります。このように、大手企業と比べて経営資源が不足している中小企業に身を置いた際に、周囲の人間を巻き込み、創意工夫を凝らして成果を出せる人材なのかどうか、採用担当者はそこを見ています。
このような点からも、中小企業向けの職務経歴書には、次の内容を具体的に書くことがポイントとなります。
・他の部署とどのようにコミュニケーションを取り、関わってきたのか?
・業務遂行のために、どのような工夫や、周囲への働きかけをしてきたのか?
・担当業務でどのような実績を出してきたのか?
6.書類作成に困ったら転職のプロに相談しよう
職務経歴書を作成してみたものの、「本当にこの内容で、自分のことをきちんと企業に伝えられるのか不安…」という人は、転職エージェントに登録して、職務経歴書の添削を依頼してみましょう。転職のプロであるキャリアコンサルタントから、あなたのキャリアに合わせた職務経歴書の書き方について無料でアドバイスを受けられます。
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