あなたは自分のことをどのくらい理解していますか?
転職において「自分を知ること」、特に「強み」を知ることは、入社後のミスマッチを防ぎ、満足度の高い仕事をするためにも重要なポイントです。
今回は、転職に役立つ「強み分析」の方法と、編集部オススメの自己分析ツールをご紹介します。
目次
1.転職になぜ自己分析が必要なの?
自己分析というと、学生時代の就職活動で一度は取り組んだことがあるのではないでしょうか?
実は、転職活動においても、自己分析は必ず取り組んでいただきたい重要なポイントの1つです。
その理由には、次の3点があります。
(1)自分の「強み」を見つけるため
企業は、あなたに何ができるのか、入社後にどのように活躍してもらえるのかという点を見ています。そのため、志望動機をどれだけ熱く語っても、企業に対して自分を採用するメリットをアピールできなければ意味がありません。もし、書類選考や面接で何度も落ちてしまう場合は、自分の「強み」を企業にきちんと伝えられていない可能性があります。または、企業が求めている人材と自分の強みがマッチしていない可能性もあります。転職活動を始める前に、まずは自己分析をしっかり行いましょう。
(2)自分に合う仕事を見つけるため
企業を選ぶときに注意したいのは、企業のネームバリューや、給与や休日などの待遇面だけを重視するということです。このケースは、自分に向いていない仕事についてしまったときや、社風や人間関係が合わなかったときに、働くモチベーションを維持できなくなる可能性があります。
自己分析のメリットは、すでに自分が気づいていることだけでなく、隠れた資質を発見できることです。自己分析をすることで、これまで考えてもいなかった仕事が自分に向いていることが分かり、転職の選択肢が広がることがあります。
働くうえでは待遇面はもちろん大切ですが、入社後に満足度の高い仕事をするためにも、まずは自分の性格や資質を把握し、どのような仕事が向いているのかを踏まえたうえで企業を選ぶことが重要です。
(3)転職の意思や必要性を再確認するため
自己分析の結果によっては、「自分が求めている仕事は、今の環境でも実現できる」ということに気が付き、転職自体が必要なくなるケースもあります。「会社を辞めたい」と思ったときは、その気持ちが一時的なものではないか、本当に転職が必要なのか、現状を冷静に分析するためにも、自己分析は必ず行うようにしましょう。
2.「強み分析」の方法 ー自己・他己分析ー
自己分析の方法はいろいろとありますが、今回は、企業へのアピールポイントとなる「強み」を分析する方法をご紹介します。
その方法とは、ずばり「紙に書き出す」ことです。
まず、紙と筆記用具を準備しましょう。手で書くのが苦手な人は、パソコンを使うなど自分がやりやすい方法で構いません。ポイントは「必ず文章にすること」と「じっくり時間をかけて取り組むこと」です。落ち着いて作業ができる環境をつくりましょう。
(1)キャリアの棚卸
まず、これまでの職歴や業務経験を、時系列で一つ一つ書き出してみましょう。
ここでのポイントは、「成功体験だけでなく失敗体験も挙げること」と「その内容をできるかぎり具体的に書き出すこと」です。
・経験した職種と担当した業務(小さなこともすべて書き出す)
・印象に残った業務と具体的なエピソード
・その業務の中で喜び、やりがいを感じた瞬間は?
・その業務の中で失敗したこと、克服してきたことは?
・その業務の中で身に付いた力は?
(2)経験・スキルの棚卸
次に、これまでの経験・習得したスキルを書き出します。特別な資格や受賞歴を持っている必要はありません。内容の大小に関わらず、思いつくものをすべて挙げていきましょう。
・得意な分野
・学生時代に取り組んだこと、学んだこと
・社会人になって取り組んだこと、学んだこと(社内外問わず)
・持っている資格、受賞歴
・いままで読んだ本 など
(3)性格・特徴・行動の棚卸
あなたの性格や特徴、仕事においての行動の傾向を書き出します。
・自分の性格
・自分の長所・短所
・どのようなことに喜びややりがいを感じるか(モチベーションが上がるか)
・どのようなことに苦手意識を持っているか(モチベーションが下がるか)
・周囲の人にどのような人間だと言われることが多いか など
【ポイント】他己分析もオススメです!
家族や友人、同僚から協力が得られるようなら、自分の第一印象、性格、長所・短所について聞いてみましょう。自分の認識と周りの人たちの認識の差異から、自分の強みに気付くことができます。
(4)書き出した内容をまとめる
(1)~(3)で書き出した内容を俯瞰的に見てみましょう。
その内容から、共通して見られるキーワードや、思考、行動の傾向が見つかると思います。それこそが自分の「強み」であり、企業や仕事を選ぶうえでの重要な基準となります。
3.「強み分析」の方法 ー診断ツールの活用ー
客観的に見た自分の強みを知りたい場合は、自己分析ツールを活用してみましょう。有料のものから無料のものまで様々なツールがありますが、今回はWeb上で受験できる、編集部オススメのツールをご紹介します。
ストレングス・ファインダー(ギャラップ社)
ストレングス・ファインダーは、世論調査と組織コンサルティングを行うアメリカの企業「ギャラップ社」が開発した自己分析ツールです。177個の質問に答えることで、「人間の強み」に関する研究に基づいて特定した34の資質(才能)から、その人に最も強く表れている「5つの資質」を教えてくれます。
ただし、この5つの資質は「強み」そのものではありません。この資質から分かるのは「自分の思考や行動の反応パターン」であり、この資質を理解し、仕事や生活の中で活かすことで、初めて自分の強みとなります。
受験方法
ストレングス・ファインダーを受験するためには、次の2つの方法があります。
・アクセスコード付きの書籍を購入する
初めてストレングス・ファインダーを学ぶ人にオススメの方法です。
Webサイトにアクセスし、書籍に綴じこまれているアクセスコードを入力して受験します。書籍を購入するメリットは、34の資質の説明、それぞれの資質の活かし方などが詳しく記載されているため、ストレングス・ファインダーについて理解を深めることができることです。
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0
出版社:日本経済新聞出版社
発売日:2017/4/13
価格:1,944円(税込)
トム・ラス(著), 古屋博子(翻訳)
・ギャラップ社のサイトでテスト付き電子書籍を購入する
Webサイト上でアクセスコード付きの電子書籍を購入して受験します。
購入できるテストは、次の3種類があります。
①Top5の強みを見つけるためのテスト付き電子書籍($19.99)
②全34の強みへのアップグレード付き電子書籍($39.99)
③全34の強みを見つけるためのテスト付き電子書籍($49.99)
転職活動では、上位5つの資質が分かれば十分です。まずは①を受験してみて、より詳しく知りたいと思った場合は、②のアップグレード版を追加購入するのがよいでしょう。
・スマートフォンアプリから課金して受験する
スマートフォンに専用アプリをインストールし、課金することでテストを受けることができます。パソコンを持っていない人も簡単にテストを受けることができます。
いずれの方法も、受験には20~30分程度の時間がかかります。また、アクセスコードは一度きりしか使えません。そのため、Web接続が安定している環境、受験のため十分に時間が取れる環境で受験するようにしましょう。
【外部リンク】ギャラップ社 ストレングス・ファインダー公式サイト
実際に受験してみた感想
ちなみに、編集部スタッフは『書籍版』を購入して受験してみましたが、5つ資質は驚くほどに当たっていました。
レポートは次の2種類が表示されます。
①自分だけの特長的な資質
②強みの理解レポート
また、「個人別の強みに基づいた行動計画を作成するためのツール」も利用できます。このツールは、分析結果をもとに具体的にどのように行動したらよいか分からない人には大変便利だと感じました。
ちなみに、日本人の傾向として、「苦手なこと」「弱み」を克服することに労力を割きがちですが、できないことに取り組むのは本人にとってもストレスとなり、膨大な時間を使うことになります。逆に、強みを伸ばすことに力を注ぐ方が成果が上がりやすく、モチベーションを維持することができます。
このことについて、ギャラップ社のサイトにも次のような記載がありました。
自分の強みを日常的に利用している人は、仕事に積極的に取り組む確率が6倍も高いそうです。強みにフォーカスするチームは、生産性を12.5%高めることができます。
【引用】ギャラップ社 ストレングス・ファインダー公式サイト
転職においても、自分の強みを活かせる環境に身を置くことで、入社後のミスマッチを防ぐだけでなく、モチベーションや生産性が上がるため、自身のキャリアアップにつながると言えます。
グッドポイント診断(リクナビNEXT)
ストレングス・ファインダーによく似た強み診断ツールに「グッドポイント診断」があります。こちらは、リクルートが運営する転職サイト「リクナビNEXT」に会員登録することで「無料」で利用できます。
グッドポイント診断は、約300問の質問に回答することで、全18種の強みからあなたの5つの強みを判定してくれます。
<ストレングス・ファインダーとの比較>
・質問項目はグッドポイント診断の方が多い。
・資質(強み)の種類はストレングス・ファインダーの方が多い。
・診断で分かる自分の資質(強み)は、いずれも5つ。
・グッドポイント診断で分かるのは自分の資質(強み)のみ。
具体的な活かし方が知りたい場合はストレングス・ファインダーがオススメ。
・いずれも受験は1回しかできない。
編集部スタッフも受験してみたところ、質問項目はグッドポイント診断の方が多いですが、感覚的に答えられるのでボリュームはあまり感じませんでした。所要時間も30分程度なので、ストレングス・ファインダーの受験時間とほとんど変わりません。
診断結果は強みの解説のみですが、企業選びや自己PRに活かすことができ、転職活動に特化した無料で利用できる診断ツールとしては大変有効と言えます。
【外部リンク】リクナビNEXT
4.自己分析の結果をより具体的にするためのポイント
2と3で取り組んだ自己分析の結果は、組み合わせることでより具体的で信憑性の高い内容になります。その方法は簡単です。2で書き出した内容と3の結果の共通点を見つけましょう。「内容が共通しているもの=特に優れているあなたの強み」と言えます。この強みに注目して、自分に合う仕事ややりたいことを考えると、入社後にミスマッチが起きるリスクを大きく軽減できるでしょう。また、この作業をすることで、応募書類の作成や面接でも、具体的なエピソードと併せて強みをアピールできるので効果的です。
5.自分の強みを理解してミスマッチを防ごう
今回は、転職活動における自己分析、強みを知ることの重要性についてご説明しました。自分の強みを知ることは、入社後のミスマッチを防ぐだけでなく、自分の可能性を広げたり、仕事への自信につながるというメリットもあります。
せっかくの機会です。今後の社会人生活をより充実したものにするためにも、じっくり時間をかけて自分の人生を振り返り、自己分析に取り組んでみましょう。