職業安定法改定で求人ルールが変わった!転職に成功するための求人の見分け方

「入社したら求人情報の内容と実際の労働条件が違った!話が違う!!」
このような経験はありませんか?

労働者を求人トラブルから守るため、2018年1月1日、企業が労働者を募集する際の労働条件等のルールが改正されました。そこで今回は、改定された職業安定法の内容と、求人トラブルに巻き込まれないための良い求人の選び方を解説します。

 

目次

1.改正の背景

近年、実際よりも労働条件を良く見せて人を集めようとする求人トラブルが増加しています。平成28年度の厚生労働省の調査によると、ハローワークにおける求人票のトラブルは年間9,299件発生し、そのうち「求人票の内容が実際と異なる」という相談は3,608件に及びました。しかし、これはごく一部の数字であり、民間の職業紹介事業者へのクレームも含めれば、さらに多くの求人トラブルが起きていることが推測されます。今回の法改正は、このような求人トラブルを未然に防ぎ、求職者が不利な立場とならないようにすることを目的としています。

 

2.改正により明示が義務付けられた内容は?

法改正により、必ず明示しなければならない労働条件が定められました。求人票を見るときは、少なくとも次の5点を確認するようにしましょう。

(参考)厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ」

①試用期間中の労働条件を明示すること

試用期間を設ける場合は、具体的な期間(○ヶ月)を記載し、試用期間中の労働条件が本採用後と異なる場合は、その内容を明示する必要があります。

②裁量労働制を採用する場合はその旨を明示すること

裁量労働制の場合、原則残業代は支払われません。「残業をしたら残業代が支払われる」という勘違いが起こらないように、裁量労働制であることを明記する必要があります。

③固定残業代の内容を明示すること

月給に固定残業代が含まれている場合は、固定残業代を除いた基本給の額と、固定残業代の労働時間数と計算方法を明記し、それを超える時間外労働・休日労働・深夜労働に対する超過分の給料を支給する旨を記載する必要があります。

④募集者の氏名・名称

例えばコンビニのようなフランチャイズ店が求人を出す場合、求人を見ただけではフランチャイズ本部が募集しているように見えますが、求人票ではフランチャイズ契約を結ぶ経営者を明記する必要があります。

⑤派遣労働者としての雇用

派遣労働者として雇用する場合はその旨を明示する必要があります。

 

3.労働条件の明示が必要な場面

それでは、どのような場面で労働者に労働条件の明示が必要なのでしょうか?それぞれ必要な場面を確認しておきましょう。

(1)ハローワーク等への求人申し込み、自社HPでの募集、求人広告の掲載等

求人票や募集要項等において、労働条件を明示することが必要です。ただし、求人票のスペースが足りないなど、やむを得ない場合は、「詳細を面談時にお伝えします」などと記載したうえで、求人者(企業)と求職者が最初に接触するまでに、すべての労働条件を明示すべきとされています。口頭ではなく書面(要望があれば電子メール)により、証拠が残る形で提示することが定められています。

(2)労働条件に変更があった場合

求職者に明示した労働条件が途中で変更される場合は、可能な限り速やかに、変更内容について明示する必要があります。

(3)労働契約終結時

労働契約法に基づき、労働条件通知書等により労働条件を通知することが必要です。

労働契約に関する記事はこちら
雇用契約書・労働条件通知書の違いは?岡山・広島で転職するときに確認すべきポイント

 

4.新卒採用の場合の対応は?

今回の法改正により、新卒採用において当初明示された労働条件を変更することは「不適切」とし、内定までに書面にて労働条件明示を行うわれるべきという内容が指針に定められました。
いままでの新卒採用では、内定した場合「内定通知書」のみが交付され、その時点で労働条件の詳細が知らされることは少なく、4月の入社時に初めて正式な労働条件を知ることになるという場合がほとんどでした。
しかし、本来「内定」は労働契約の成立です。この時点で労働基準法15条による「労働条件の明示」が行われる必要があるということから、今後は、内定通知書とともに労働条件通知書も交付されるように変わっていくでしょう。

 

5.違反した企業への処分は?

虚偽の労働条件を提示して、ハローワークや職業紹介事業者等に求人の申込みを行った企業については、行政による指導監督(行政指導、企業名公表)の対象になる可能性や、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられる場合があります。
さらに、ハローワークや職業紹介事業者等の全ての求人を対象に、労働関係法令違反を繰り返す企業や、暴力団員が事業を行っている事業所からの申し込みについては、求人が受理されなくなります。(これについては施行日が改正法公布から3年以内となっているため、現時点では適用されません。)

 

6.条件の明示はすべての求人が対象ではないので要注意!

注意したいのは、この法改正で新たに明示が義務付けられた内容はすべての求人に適用されるわけではないということです。
ハローワークや職業紹介事業者による職業紹介は、法規制の下で運用されています。しかし、それ以外の民間事業者が運営する求人サイトや求人情報誌については、法規制の対象ではないため、求職者に対して労働条件明示の義務を負いません。そのため、求人サイトや求人情報誌などに掲載された求人情報には、明示されるべき内容が記載されていない可能性があるので要注意です。

 

7.求人トラブルに巻き込まれないための求人の見分け方

前項で記載した通り、ハローワークや民間職業紹介事業者で扱われている求人以外は、必ずしも明示条件を満たしたものばかりではありません。そこで、求人トラブルに巻き込まれないために、求職者がチェックすべきポイントをお伝えします。

まず大前提として、今回の法改正の内容が反映されている求人を選びましょう。労働者が不利になるような内容を記載しない、実際の労働条件より良く見せている求人は危険です。

(1)一年中求人を出している企業は注意する

企業が求人を出す理由は、「新規事業立ち上げ・事業拡大による人員補充」「不人気業種・職種のため人手不足」「専門性が高く求める人材が見つからない」など様々ですが、注意しなければならないのが「離職率が高い」ということです。入社してもすぐ辞める人が多い、社員が次々と辞めてしまうような企業は、一年を通して求人を出していることが多く、ブラック企業の可能性があります。ちなみに、新卒3年以内の離職率であれば、厚生労働省のホームページ内に公表されています。

(2)求人サイト・求人情報誌だけでなく、企業HPの採用情報もチェックする

求人サイト等では掲載スペースの関係で、一部の労働条件の記載を省略している場合があります。企業のHPであれば掲載スペースに制限がないため、詳細を記載することができます。他にも求人サイトには掲載されていない情報が掲載されている場合があるので、企業のHPは必ずチェックしてみましょう。

(3)月収・年収だけではなく、基本給と各種手当を確認する

求人を選ぶときは、月収や年収に注目しがちですが、その内訳をきちんと確認しましょう。特に給料に固定残業代が含まれているときは要注意です。何時間分の残業代がいくら含まれているのか、必ず確認しましょう。

(4)年間休日は120日を目安にする

土日祝と年末年始の休みを合計すると年間休日は約120日になります。ちなみに労働基準法では、所定労働時間が1日8時間であれば法定労働時間(週40時間)を超えないよう「週休2日制」にする必要があり、この場合の年間休日は105日となります。これより休みが少ない場合は、「36協定を集結しているか」「法定労働時間を超えた分の割増賃金が支払われているか」を企業に確認してみましょう。

 

8.まとめ

今回の法改正により、違反した企業に懲役や罰金、求人を不受理とする罰則ができたことで、ハローワークや職業安定所など公的な機関で扱う求人のトラブルは減ると予想されます。しかし、企業自身が公表する求人情報、リクルートサイトや、民間企業が運営する求人サイト、求人情報誌などは、必ずしもすべての条件を満たしているとは限りません。
求人を選ぶときは、必ず法改正の基準を満たしているかを確認しましょう。また、入社前には必ず書面で労働条件を確認しましょう。労働条件通知書の交付は企業の義務です、もし、交付を拒否されるような場合は、その企業への入社自体を見直した方が良いかもしれません。

それでは、どのようにして企業を探したら良いのでしょうか?
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